蛍陽

もう大人だから
苛立ちも間違いも臆病も
みっともないような気がして動けなくなった
ホタルビ

誰もがあなたを責めても
誰ひとりわかってくれなくても
酷く無力で孤独な日々も

“乗り越えて行きたいと願うなら乗り越えられるよ”
ホタルビ僅かばかりで
不器用で不甲斐なくて消えそうでもがいている

風を辿る様アテのない遊歩道
さらさらと囀る水面 きらきらと月の雫
大人になって押し殺すことだけが増えて
誰にも話せなくなった

悲しみという感情 この世から切り捨ててくれよ
そうしたらどんなに楽に生きていけるだろうか

苛立ちは本当は傷付いた
間違いは本当はわかっていた
臆病は経験がそうさせた
涙が止まらない
例え何にも繋がらないとしても
せめて誰かのわだかまりを 痛みを
優しく抱き締めたい

“乗り越えて行きたいと願うなら乗り越えられるよ”
ホタルビ僅かばかりで 雑踏を掻き分けて探している

人と違う どうして違う 何が違う やるせない夜の
迷走の先 本当の意思や答えが見つかるとも限らない
でも僕のような同じような誰かに伝えたい

焦らないで 焦らないで ホタルビ宿して
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