失意の果て

街外れ古い廃屋の壁にもたれ
届きそうな星の光に俺は手を伸ばしていた
何もかもがうつろに消え入りそうな夜
街灯の下 沈んだ心 全てが嘘に見えた

ちっぽけなHeartをこの手で握りしめて
抱え込んじまった物を
吐き出せないままで
ぶざまに転げ回る俺の影が笑ってた

ある朝 俺は片道分のチケットと
バックに包めたすり切れたジーンズ
タバコとギターを持って
見知らぬ街へと向かう列車に乗り込み
溺れそうな誰かの愛に俺はそっと蓋をした

傷だらけのHeartをこの手でかき鳴らし
しがみつけないと知った
「夢と希望だけじゃこの橋は渡れない」
誰かがそう呟いた

転げ落ちてしまう前に
俺は俺だと言ってしまいたかった
誰かの肩にもたれてしまうのは嫌だった
昨日からは少しだけ違う
俺の顔が映る窓を見つめ
走り出した夜に俺は深く息を吐き出した

東の空がぼんやり赤く燃えだした
何かが変わり
何かが少し歯車が噛み合い始めた
俺が飛び乗った西へと向う夜汽車は
駅に着く度誰かを降ろし
そして誰もいなくなった

逃げ出す事だって 振り切る事だって
今の俺にはできるはず
出口はひとつさ
右でも 左でも 結局は同じ事さ

共に産み出す物は
ガラクタとモザイクに隠れた嘘ばかり
走り抜ける事も
行き着くあてもない
ため息と絶望の中で見つけ出した
真実のことだけは
失さない様に胸にしまい込んで

いつも死に物狂いで
風の中を俺は走り続けて来た
振り切る事もやりとげる事もなく
道端に無造作に置き去りにされた
全ての俺の過去を 両手でかき集め
胸のポケットに押し込む 失意の果て
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