どこから見てもへの字山

どこから見てもへの字山 春の陽気に誘われて
放課後ひとりで登ったら 生まれて育った町が見えた
ここでそのまま年老いて 昔の夢を悔しがる
そんな人生ごめんだと ああ~そう思ったよ

どこから見てもへの字山 夏は早よからじいちゃんと
栗やクヌギを揺すっては クワガタ虫にカブト虫
人の喜ぶ人になれ いつもおんなじ口癖は
今も変わらず空の上 ばあちゃんと笑っているよ

どこから見てもへの字山 秋の落ち葉を踏みしめて
誰にも言わずに温めた 夢と駆け落ち決め込んだ
家を出てゆく朝靄(あさもや)に 煙るへの字のしかめ面
いつでも帰っておいでよと 呼ぶ声も聞えぬままに

どこから見てもへの字山 おまえはえらいねホントえらい
どんなにバカにされたって 低い背丈(せたけ)のままでいる
夢のつらさに独りきり 声を殺して泣いている
都会の空に浮かんでた 懐かしいへの字のままで

どこから見てもへの字山 時は流れて春が来て
あの日と同(おんな)じ場所に立ち 育ててくれた町を見る
おまえのへの字に見守られ 俺はここまで来たんだよ
人の喜ぶ人になり ここに自分の骨埋める
そんな人生決めたのさ 何故だろう涙が出たよ
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