青春のフレア'92サマーバージョン

悲しすぎることは
思い出したくない
美しいことだけ
人は憶えてる
あの夏のことは
思い出したくない
プールサイドのベンチ
かげろうのテラス
うすい胸を かさねたとき
きみは他の 名を呼んだ

青春の暑いフレアに
うかれてたあのとき
目もくらむほどに激しく
ふたりかがやいてた
抱きしめても抱きしめても
とおくとおく ふたり
遠雷に耳を澄ませば
草のにおいがした

大人になる日が
やがて訪れて
君は口紅引いて
ホームに手を振る
僕は汽車に乗れず
ただ君の薔薇色の
唇がうごくのを
黙って見ていた
細い指を からめたとき
ふたり何を 契ったの

青春の暑いフレアに
吹かれてたねふたり
もう二度と
あんなにあつく
人を求めはしない
木陰をさがすふりをして
君は去って行くの
突然の雨にまぎれて
においも残さずに

青春の暑いフレアに
うかれてたあのとき
目もくらむほどに激しく
ふたりかがやいてた
抱きしめても抱きしめても
とおく今はとおく
夕焼けのビルの谷間に
草のにおいがした
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