チロ

凍った雪の上で転んで
抱いていた 君の後ろ足 不自由にしてしまった

しかたないよと お腹を切って
赤ちゃんできなくしたのもぼくたちなのに…

ねぇ チロ 愛しいチロ
どうしてしっぽを振って
今日もぼくの帰りを走ってむかえてくれるの

あの日お父さんが君を拾ってきてから
家族にやさしい笑顔 灯っていったよ
後ろの足 引きずる度 はり裂けそうだよ
ああ チロ ぼくを噛んでほしいんだよ

眠れぬ夜や 泣きそうな時は
いつも そばに来て ぼくが笑うまで 顔なめるよ

いつか ふざけて 君に眉毛を書いて笑ったら
いじけて ごはん 食べなかった…

ねぇ チロ 勝手だけれど
ぼくはね 救われたんだよ
ねぇ チロ 犬のコトバで ありがとう
なんて言うのかな…

あの日お父さんが君を拾ってきてから
家族にやさしい笑顔 灯っていったよ
後ろの足 引きずる度 はり裂けそうだよ
ああ チロ ぼくを噛んでほしいんだよ
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