幽霊少女メルヴィ

遠くで 夏の匂いがした
どうやら 少しだけ眠っていたみたい
夜の帳が下りる頃

仄かに灯りが 綺麗に染まった
それは眩しく見えて そっと俯いて

私がいなくなった世界は
案外何も変わらず 廻るでしょう

まだ生きていたかったな 涙さえも流れなくなって
もう声も聞こえない 私の居場所は 此処にはもうない

なんで なんで 死んでしまったんだっけ
ただ ただ 夏を待っていただけなのにな
なんで喪った後でしか 気づけないの

ずっと膝を抱えて 花びらが散って
愛されてなんていないと 思い込んで

友達も家族も 泣いていたんだ
その時はじめて私は 私になった

瞳には映らない 手のひらは透けてしまって
もう二度と帰れない 私は人間を辞めたのです

なんで なんで 泣いてしまったんだっけ
ただ ただ 笑っていたかったのにな
あの夜空の星みたいに なりたいな

もう泣かなくていいの もう泣かなくていいよ

なんで なんで 幽霊になったんだっけ
ただ ただ 最後に伝えたいだけなのにな
なんで喪った後でしか 気づけないの

なんで なんで 死んでしまったんだっけ
ただ ただ 夏の面影を想う
あなたは精一杯に 生きてますか
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