八月の冒険者

あいつはヘンなやつだし何も喋らないし
いつもひとりでいるからよくわからないよな
モナリザみたいな顔で大きい画用紙抱えて
僕たちのことなんか見向きもせずに

黄土色のリュックを大袈裟に揺らしながら
どこまでも駆けていく走るの遅いくせに

夏のテーマなんかも特に決めないで
それなりに遊びそれなりの遊び
また今日もあいつはあんなに急いで
僕たちの秘密基地見向きもせずに

ボサボサの寝癖の頭の中には
数え切れないほど計画が詰まってる

水筒の氷を頬張って青空に飛び込んだ八月の冒険者
あいつは誰よりも輝いて見えた走るの遅いくせに

水筒の氷を頬張って青空に飛び込んだ八月の冒険者
あいつは誰よりも輝いて見えた走るの遅いくせに
吹き抜ける風が帽子を飛ばして夏に溶け込んでいく
八月の冒険者
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