悪魔になれない

吹き込む雨に ただ濡れて
ドアのすき間に あなたが見えた
頬までかかる 髪を分け
どこにも行かぬと ぽつりと言った

ふたりの名前を サラリと消して

君には二度と 逢わないと
それだけ言って
風のように消えた あなた

あの人を捨ててまで 愛せと言うの
それはできない それはできない
悪魔になれない

夜更けの窓に 腰かけて
愛する人は 君がひとりと
小鳥抱くよに 手を添えて
ため息まじりに あなたは言った

みなしごみたいに 捨てられたから
ただやさしさが ほしくって
ほかの誰かを
愛してしまった わたし

それでもそれでもまた 愛せと言うの
それはできない それはできない
悪魔になれない

疲れ果ててる 魚のように
星がいくつと 数えてる
そんなしぐさが
私をまただめにするわ

今すぐ抱いてほしい 抱かれてみたい
だけどできない だけどできない
悪魔になれない

それはできない それはできない
悪魔になれない
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