名前しか無い怪物

青冷めた顔を鋭く割る目と唇
髪で隠す仕草で 顔伏せて
一つ確かなのは名前だけの
怪物なんだって
見ないで

大事に膨らませた体を 誤魔化して背を丸めたら
大きな服で 君が来るはずの方角で
角度を決めて 待つの

構えたわたしがちょっと
崩れてしまったら
認めなくていいよだから許して

ああこの夜が裸になってしまって
君の柔い目の中
スタンドライトがウロコを光らせる
前に消して 名前呼んで

上手に未来の話をして
飛び跳ねて 顔上げて また伏せて
刹那に慌てて見渡しても
誰も見てなくて吹き出しちゃって

等しく怪しくて輝いているのは
誰もおんなじさ

構えたわたしがちょっと崩れてしまっても
牙を持ち合わせない獣で
隠したナイフだって上手く持てないってば
許してなんて思わないから
見ていて

ああこの夜が裸になってしまって
君の柔い目の中
スタンドライトで尻尾を覗かせる
とこでいつも 離さないで
髪を上げて 名前呼んで
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