飛べない蝙蝠

朝の光が 今日は眼に痛い
通りすぎゆく人に 声かけて
名前尋ね
何となくただ手を組んだりして
歩いてみようと思うけれど
すぐに僕の中の どこかでどうせ
ながつづきはしないと言う

肩に気まぐれ 風の誘い声
黒い翼で もう一度空飛べと
がけに登り
がむしゃらにただ君を呼んだりして
はばたいてみようと思うけれど
すぐに気がつくだろう 空の上から
まいおりる場所もない

立ち位置 揺らぎ
心も 揺らぎ
拠るべき価値も
見定まらず

出来ることなら 白い雲の果て
遠く浮かんで 消えゆく風船の
姿まねて
誰の目にもとどかぬ世界へ
飛んでゆきたいと思うけれど
すぐに明日になれば 又別の事を
考えている僕だろう
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