パピルスの舟

波のひいたあとの 白い砂の上に
影のように佇む あなたそしてわたし
誰もいない地球 群れるかもめだけが
今は人のとだえた 街の空をかける
たとえ二人こぎだす 舟が波にのまれても
手と手を結びあう 奇跡があるかぎり
わたしはこわくない ああこわくない

波の色で染めた 頭文字のイニシャル
洗い流す雲間に 遠い国が見える
たとえパピルスの舟 海にとけて流れても
春からまた夏へ 季節があるかぎり
わたしはこわくない ああこわくない
×