蜜蜂

テーブルの下で交わす約束は
誰にも知られることのない二匹の蜜蜂

あの角曲がれば街灯も絶える
暗がりでは誰より二人きりになる

悲しいか 悲しくないわ
私の恋人
淋しいか 淋しくないわ
秘密の恋人
そのくちびるに真っ赤な花を
その瞼に宵越しの夢を

心はいつも君を探すから
いっそこの身体爪の先まで邪魔で憎らしい

人影まばらな駅のホームでは
軽はずみな台詞のひとつも無理矢理探し出す

優しいか 優しくないわ
私の恋人
空しいか 空しくないわ
秘密の恋人

愛しいか それとも違うわ
裸足の恋人
気持ちいいか 悪くはないわ
九月の恋人
耳たぶに白夜の歌を
その指先に今日の印を
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