一輪一滴

永永と 越後の 郷に
降り積もる 雪花
寒花を 化粧ふ 白粉か

淙淙と 流れる 水は 血と汗
清かに 諳れる 謳は 澪標

道なき 途を 頑に 往くは
かえらぬ 謂の 只 有る故

恐れず 歩み 細やかに 備う
其れ丈を 念いて
然う 成るを 目掛ける

直 醸みた 一滴の 酒に
其の 泪を 釈して 笑むなら
零れ 咲き 巡り ゆく 季に
今日を 重ぬ 衆を 潤す
一輪の 花よ

恐れず 歩み 細やかに 備う
其れ丈を 念いて
然う 成るは 遙に 遠かれど

醸みた 一滴の 酒に
只 一縷の 憩いが 有るなら
今日も 廻む 営みの 傍に
魂 尽くす 衆に 微笑む
一輪の 花と 幾重にも 願う
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