蛍月夜

せせらぎに… 河鹿(かじか)鳴く夜の 蛍狩り
ひとり来ました 貴船川(きぶねがわ)
肩先に 風がひと鳴き 行き過ぎて
恋の焔(ほのお)が 燃え上がる
溺れたくない 溺れたい
今宵(こよい)叶わぬ この恋に

影ひとつ… 蛍出る間の 薄闇(うすやみ)を
あなた偲んで 歩きます
暮れなずむ 空にまあるい 月が出て
遠く聞こえる 三味の音
偲(おも)いつのらす この胸に
そっと蛍の 灯(ひ)をともす

今夜だけ… せめて一夜(ひとよ)と 来ぬ人を
待てばひとりの 朝がくる
しののめの 露に濡れつつ 見上げれば
空にひとひら 白い月
一生一度の この恋を
どうぞ叶えて 鞍馬山(くらまやま)
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