夏の夢

借りたままだった本を返そう
最後ぐらいは驕らせてくれ
折り目もそのままに

人目のつかない路地の裏で
互いの覚悟を確かめ合った
あの日から見ていたんだずっと

夏の夢

借りた車のシートを倒し
波打つ肌を迎えたコインパークの隅
花火の光を隠した夜も

指輪を拾ったり
苗場の月灯り
ステージの光
土砂降りのパリ
見えない何かに馳せていた思いもきっと

夏の夢
これは夢
夏の夢

起こさないで
いつも浮かぶ
いつかの夏
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