あけび

晴れの日 蝉の声 自転車
坂道 ベルの音がしたら
小さかった私 駆け出す
大好きなあなたが遊びに来たのよ

おみやげを渡されて 出てきたのは
まあるい紫のあけび

妹が生まれた 夏の日
水着のまま海へ出かけた あなたと

むこうの小島へ行きたいとせがむ
私のわがままに 少し 驚き

笑いながら 二人で少し浮かんで
その島めざして 飛沫を上げた
あなたの右手に抱かれて泳いだ日
初めての海は あけびのにおい

潮騒の浜辺 歩くと声がする
私を呼ぶあなたの声がする
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