モノクローム果樹園

四角い箱で息をする チョークの音が響く午後
ぬるい空気が毒のように 喉に肺腑にからみつく

モノクロの服を着せられて
規律 こっからハミ出んなと
一緒くた監視に値踏みされ出荷のレール乗るのさ

どうせ価値などつかないと
道を外れる強さもなく
ぺたり貼られるバーコードを
待ってるのも…そろそろ飽き飽きしてた

ちょうどそんな頃合いだった モラトリアムな屋上で
気だるく猫背気味の背で キミはどこかを眺めてた

落し物なら職員室だよ
バカにすんなと聞いた気がした
未練がましいその指を 棚から剥がしてった

そしていつしか隣り合って
くだらないジョーク投げて返した
腐る寸前だった僕の芯は気づいたら 綺麗になっていた
ふたつ季節が巡るころ
いつものように錆び階段を
音を立てて登った先で
待ってたのは…一揃いの靴だった

空を翻る洗濯物に
似て非なる影を こぼさないように
つかまえた

どんな価値より重たいものに
痛み腕がぎしぎし鳴った
土に落ちたらもう戻れない
させないさ…自由になんてまだ

青白いその頬と心が
せめて赤く色づくまでは
ベルトコンベアーの上にいてよ
行かないで…

キミはうなづいて泣いた
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