九月の渚

小雨ふる この渚
たそがれも 夜も
さよならの 傷あとと
独りになった 女ごころに
さざ波は 想い出か
寄せては 返す
ちぎれた 恋のあと 貝がらも
あのひとも 夏の日も
海の彼方

ただ一度 もう一度
抱きしめてほしい
いまはもう うらまない
冷たい うそも
淋しい青春(はる)も
岬の灯 ひとりぼっち
点いては消える
あんなに愛された くちびるも
濡れそぼる 白い雨
遠い愛よ

細い手を さしのべて
夜風に呼べば
汽笛もきこえない 海鳴りも
泣かないで お帰りと
かもめの唄
泣かないで 泣かないで
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