月の水海

夜空に浮かび上がる
その欠けた月が
闇夜の静けさに滲み
溶け出すように思えた

揺られた
夢の中のような出来事
ほんの一瞬の幻想
息も忘れて

妄想が捗る夜更けに
時を忘れ
馬鹿げた頭も
愛しく思い始め溺れてく

満たされてはいけない
そう思い込んでは
いつもこわくて閉ざすの
誰も入れない
この領域で沈んでいたいの

吸い込む澄んだ夜の空気に
目が覚め
研ぎ澄まされる五感で
現実が広がってく

間違いだらけ
したり顔で言う戯れ言

ユートピア
幻のように霞んでゆく

ひび割れてく
積み上げ
作り上げたもの
また音立て崩れてく
気持ち良ささえ覚え
この身を焦がすわ

触れてはいけないようで
触れて欲しい腫れ物を
ちらつかせては
ギリギリで存在していたいだけ

息を止める
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