嵐からの隠れ場所

彼女のブラウスのいちばん上の
ボタンまでの長い道のり
たどり着いた時俺は見つけた
今までずっと探していた
嵐からの隠れ場所を

彼女は俺を胸に抱きしめ
優しく髪を撫でながら言った
2人は十分傷ついたから
これからはここが必要よ
嵐からの隠れ場所が

約束交そう ルールを決めて
理由を正し 言い訳をして
傷をなめ合い 慰め合って
ハード・ボイルドもロマンスも
もうここでは試せない

壁を塗りかえ 窓にはカーテン
新しい事は望まずに
2人が愛と呼んでたものが
3日で退屈と擦り替わる
嵐からの隠れ場所じゃ

ある晩俺はついに打ち明けたんだ
俺はもう君の事など愛しちゃいないんだ
彼女はにっこり笑って言った
愛と憎しみはいつでも
似たようなものよ

夕食は冷め 会話はとぎれ
でも気づかないふりでやり過ごす
俺はグラスと世間話始め
彼女は受話器と恋に落ちた
嵐からの隠れ場所で

ある晩俺はとうとう叫んだんだ
いったい君は俺の何が欲しいんだい
彼女はゆっくり手を伸ばしながら
低い声でこう言った
これよ

夜明け近くに荷物をまとめ
彼女が口を開け寝てる横を抜ける
これが平和というものならば
俺はもう2度と帰らない
嵐からの隠れ場所へ
×