ORGEL

アミの目の上を すりぬける彼
とっくに色もあせて 風にあおられて
まい上がる彼
小さな弧を描きながら
胸にかくれ
てのひらに乗り

ささくれた 気分の 真ん中で
あそびのない かたい弓
思いきり引いて ねらいを定め

猫の眼のようにたくさんかわる
(また眼を閉じている。見られたくない。)
考えている
まわりの気配を見ては、
たのしいかどうか?
さびしいかどうか?

人擦れの音の中浮んでる
思うのはあの影の絵

彼らといっしょに
見えなくなってる
×