重友一代

人の誠は 誠で返す
芸の要(かなめ)は その心
天がこの身に 授(さず)けてくれた
男一代 浪花節
木村重友(しげとも)…
意地と涙の 物語

「芸に終わりはない 死ぬまで修業だ
それが 父・木村重友の口ぐせでした
旅から旅への巡業で
一年のうち数えるほどしか 会えない父…
さびしかったけれど 私たら娘の前では
いつも笑顔の やさしい人でした」

数え十一 胸弾ませて
越えた下野(しもつけ) 思川(おもいがわ)
酸いも甘いも 苦労の水も
恥を知らねば 恥かかず
木村重友…
夢はひとすじ 抱(だ)き柏(がしわ)

花の都じゃ 見えないものも
旅の楽屋じゃ よく見える
三味は太棹 啖呵はいのち
語る浮世の 裏・表
木村重友…
義理と人情の 張り扇(おうぎ)
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