故小妹

更け行く鐘の音
思いうつせみの
果(はか)なき面影
結びもあえず
忽(たちま)ち夢さめて
とめし我が手に残しし
ゆかりの色濃き
若紫の
ああ ゆかりの小袖

思い出(い)ずれば
十年(ととせ)の昔
はるけき旅路に
我等残しし
幼き姉妹(はらから)の
夢の面影なれや
更け行く鐘の音
昔を語る
ああ ゆかりの小袖
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