旅鴉

百里千里を 歩いても
歩くだけでは 能がない
ましてやくざな 仁義沙汰(じんぎざた)
広い世間を 狭(せま)くして
どこに男の どこに男の
明日(あす)がある

はなればなれに 散る雲に
訊(き)いて答えが 出るものか
一つしかない 命なら
一つしかない ふるさとの
せめて畳の せめて畳の
上で死ね

意地と情けは 垣根(かきね)越し
それが道理と 知りながら
知った道理の 裏をゆく
野暮(やぼ)な野郎の 意地っ張り
今日も草鞋(わらじ)の 今日も草鞋の
紐(ひも)が泣く
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