波止場の蔭で

あの人は行ってしまった
海の彼方へ
わたしに残したのは
さようならと言う言葉だけ
あの人は海の男 わたしは陸の女
しょせん別れる 運命(さだめ)でした

あの人と共に暮した
楽し思い出よ
わたしは胸に抱いて
消えた面影慕うだけ
あの人は強い男 わたしは弱い女
しょせん届かぬ 願いでした

それでも妾(わたし)は霧に濡れ
今宵もひとり待ってます
港のかもめよ 泣かないで
おまえはみんな 知っている
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