織田信長

生まれ育った此の日の本を
乱れ乱してなるものか
駒よいななけ信長の
鎧の胸に懸けた夢
征くは嵐の桶狭間

神も人をも恐もせずに
国の歩みを引く力
旗をなびかせ信長は
広く世界に瞳を向けて
広い天地を馳けめぐる

「蘭丸よ、光秀が謀反とな…
彼の兵力はたしか一万三千…
明智の大たわけめ
己れが此の信長にとって
変れる器量があると思うてか
誰が此の日の本を
力ある一つの国に出来るのだ、
命はそれが無念じゃ」

人間五十年
下天のうちをくらぶれば
夢まぼろしの如くなり
うははは…人間とは愚かなものよ

無念涙の唇かんで
燃えて崩れる本能寺
哀れ散り逝く信長の
心の裡(なか)を誰が知ろ
風を盈(はら)んだ夜が明ける
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