鬼怒川情話

谷の せせらぎ 静かに聞いて
夜の湯船に 濡らす肌
ここは 鬼怒川 湯煙りの里
添えぬ 運命に 泣いてもいいの
紅い 命を 結びたい

爪の 先まで 愛されたなら
燃えて死んでも かまわない
遅い春です 湯煙りの宿
花か 情けか あなたの彩に
染めて下さい 夢 ひと夜

いまの あなたは 私のあなた
夫婦きどりの いで湯酒
人眼届かぬ 湯煙りの旅
ガラス障子の 夜明けの部屋は
化粧する手も ままならぬ
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