しのぶ坂

町を流れる 小さな川に
映るおんなの 春と冬
ままにならない 人の世を
渡り切れない 渡りたい
何度足踏み したのやら
雨も吐息の しのぶ坂

にわか仕立ての 幸せよりも
いいの私は 身の丈で
ましてあなたに 故郷の
同じ匂いを 見るのです
流れゆく世の 片隅で
お酒注ぎ合う しのぶ坂

人の心は 見えないけれど
心遣いは よく見える
そっと指輪を 手渡され
なぞるそばから もう涙
無駄じゃなかった まわり道
明日が見えます しのぶ坂
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