ハニーBoy

飛行機の時刻は近づいてる 刻一刻と迫ってる
それでも体は鏡の前から動けなくなってる
せかせかと塗ったペディキュアは ちっとも綺麗に塗れなくて
もういいや って服を掴んだらマネキュアがベトリ

なんだか調子狂うわ 昨日は飲みすぎたかしら
あぁいけない忘れてた ハニーボーイとグッバイしたんだった

ピンクのドレス 禿げたマネキュア 窓からの風が飛ばした白い帽子
ここに来る時にゃ 全部きまってた
蝶々が舞い 帽子にとまり 夢中になって走り回った渚も
このホテルもグッバイ

少女漫画の主人公は 強情で素直になれず
好きな男の子とすれ違いばかりでメソメソ泣いてる
何でそんな気に障るものを 帰りの飛行機で読んでるの
またハニーボーイ思い出してしまうことになるでしょ

ねぇもしも今 私が素直じゃないなら
素直な気持ちになってどんな言葉が出てくるんだろう

ピンクの頬 つらつら涙 肩を震わせで泣いてみりゃいいのかな
そんなの無理よ 今さら
深く腰掛けたお尻が少し 動き出そうとしているようで慌てる
ここに来て ハニーボーイ

ピンク色のふやけた恋と 散りばめられた私の乙女心は
潮に流される 貝殻みたい
小さな波も大きな波 あの堤防の場所さえわからない
ここに来て ハニーボーイ
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