あのね、ほんとうは

闇の中で揺れる 提灯
立ち上っている 湯気
心豊かに 暮らせるのなら
肴はなくてもいい

七輪の上 丸く焦げていく
イカの姿を 見て
箸でつつき
あの人は言った 
まるで僕たちみたい

あのね、ほんとうは
こうして過ぎてく 今でも
夢じゃないかと 疑って
手をつねった 目をふせた

あのね、ほんとうは
降り続く灰に埋もれて
本当の自分が消えて怖い

あのね、ほんとうは
強がりは とうに疲れた
一人じゃ寂しすぎるから
一緒が温かい
あなたと温かい
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