青い海

海が見下ろせる さびれた街で
小さな本屋を 営む彼は
今年65 一人暮らしをしている

早く奥さんを 亡くした彼は
一人残された かわいい娘を
大事に育てて 去年お嫁に出したの

嫁いだ先は 遠くの街で
彼は初めて 飛行機で行ったけど

遠すぎてとても疲れた その上
食べ物の味がまるで 違っていた
彼はもう二度とここには 一人で
来ることはないだろうと 心に決めたけど 寂しかった

一人暮らしには 慣れてきたけど
小さな本屋は 開店休業
彼は一日中 海を見ながら暮らした

そんなある日に 急に娘が
一緒に暮らそう 店を閉めて来てよと

突然の話についイヤだと
ここで俺は死ぬんだと怒ったけど
娘の流す涙が こたえて
彼は毎日悩んだ 出来るならばここで 暮らしたいと

街を離れる日 彼は近所に
すぐ戻ってくるからと あいさつした
それからしばらくすると 本屋は
壊されて駐車場に変わっていた 海がとても青い
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