忠治おとこ笠

生れ故郷を 追われる背中(せな)に
赤城おろしの からっ風
やけにしみるぜ 峠路は
上州街道 急ぎ足
明日はいづこの ねぐらやら
草鞋(わらじ)冷たい 草の露

渡る雁さえ 日暮にゃ帰る
何んで止らぬ 意地張り
こんな渡世の 一筋に
付いて来る奴 泣ける奴
共に命を 分け合って
たとえ地の果て 何処までも

義理の重さに 情の厚さ
固く結んだ 絆糸(きずないと)
腹に納めて 抱いて行(い)く
男忠治の その先は
雨か嵐か 修羅の川
流れ流れの 忍び笠
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