舞頚

軍配 無い袖は振れぬ
仇敵は無く 身方も絶え
顛沛 泥土に消ゆ
寄らば斬る世迷い

素っ首 洗って待っておけ
半刻で 我が手中
月牌 内乱罪
喝す 打ちのめす

諍う其の益荒は
轟きの懺悔に戦慄く
討ち果すは互いの
唯一の蝋燭なる頭

怨みは消えぬ 裁きを
脱す 脱す 脱す 然して 斬る

流れる 此の泪と
遅蒔きの惨劇は永く
魂消る程 輪廻な
此の念いは 雲散霧消

散る 鬨の唄は 黒き海に呑まれ
重る 病みを 統べる
諍う 巴の 人騒きは 滅ばぬ

罪も科も 斬らば御破算
月も尖る 旧の木阿弥

散る 鬨の唄は 黒き海に呑まれ
重る 病みを 統べる
争う 強敵への 情の呵を

赤る 時の唄は 黒き淵に揉まれ
重る 闇を 辷る
諍う 巴の 犇は 転ばぬ
×