涅槃忍法帖

性なき 囀る 雑魚にさえ
情けの 名謁 何を成す
贖ふ 足を 洗い 改む

塞かふ 聲に (脱 抜 殺 喝 刺)
惑わされても (脱 抜 殺 喝 刺)
取り合わない (脱 抜 殺 喝 刺)
降魔の 如き 沙汰では 動けぬ

敢え無き 垢染む 阿堵にさえ 足掻く
内衛を 宥める 和ぎを為す
栄う 逆蟲と 差し渡す

祈がう 聲を (脱 抜 殺 喝 刺)
繋ぎ止めても (脱 抜 殺 喝 刺)
取り敢えない (脱 抜 殺 喝 刺)
蝦蟇の 如き 磋蛇でも 蠢く

同胞よ 決して怖じけるな
希望は無くとも 意義は在る
何程の血が其処に流れようとも
新たなる芽吹きに 是非は無し

涅槃の扉は 水色の飴
盪ける さらめきを 後ろに
嗚呼 椴の樹を 挽きながら 罷りゆく

已むを得ず 二度と帰れぬ身と 相成った
助けも 情けも無用 屍は晒しておくがよい
皆 怠りなく 任務を果たせ
では然らば 涅槃では俟たぬ

涅槃の調べは 水銀の雨
届ける 漣を 蓆に
嗚呼 轟きを 聴き乍ら 交ざりゆく 肉体

祈がう 聲を (脱 抜 殺 喝 刺)
繋ぎ止めても (脱 抜 殺 喝 刺)
取り敢えない (脱 抜 殺 喝 刺)
蝦蟇の 如き 磋蛇では
直ぐに 澱んで 消える

でも 俟たない でも 俟たない
でも 俟たない でも 俟たない
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