パラソル哀歌

昔 母が
父と別れて出て行く時に
坂道で小さく揺れた
白いパラソル

ふり返りたいのに ふり返らずに
くるりと回して消えた想い出

今 わたし
母と同じに男と別れ
夏の陽(ひ)が眩(まぶ)しいからと
白いパラソル

あやまちを詫びたら いい筈なのに
くるりと回して告げたさよなら

パラソルは女の言葉
パラソルは女の思い
悲しさあふれる背を隠し
わざと陽気に くるくる回す

母はどこで
愛を貫き生きてるだろう
今になり 浮かんで見える
白いパラソル

ひまわりがこぼれる一本道で
くるりと回した意地の心を

パラソルは女の言葉
パラソルは女の思い
悲しさあふれる背を隠し
わざと陽気に くるくる回す
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