六月の鯉のぼり

肩を寄せ合い寒さをしのいだ
打ち震える白夜に
命も凍りついた

かすかに君の声が聞こえた時
僕はしがみつくように
君を抱きしめた

悲しみを抱きしめた二人の間に
生まれてくるものは
苦しみだけか

どこへ行けばいいどこへ立ち向かえばいい
僕たちは誰に道を
聞けばいい

なーんにもないこの青い空に
遅れてきた
六月の鯉のぼり

しっかり寄り添い雲を追いかけ泳ぐ
季節の風に挑む
二匹の鯉のぼり

明日僕はまた壊れた船に乗り
君を守るそのために
海に出る

大好きだった君が生きてゆくのなら
かわりにたとえ僕が
死んでもかまわない

限りなく続くこの一本道を
ふりかえりふりかえり
歩いてゆく

僕たちはいつになったら帰れるの
あの美しい故郷の
家に帰りたい

水平線を泳ぐ鯉のぼり
あの故郷に帰れる
日はいずこ
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