未練のグラス

あの夜は泣くような 雨が降り
すこし早めに 灯りを消して
二人で乾したわ 赤いグラス
こゝろが情けが 触れ合って
あれがせつない 愛のはじまり

あのひとのあの匂い タバコまで
好きになったの 抱かれるたびに
あふれるよろこび 胸にしみて
けれども二人に 二年目の
秋が来たころ 愛はもつれた

すき間風肌さむい こんな夜は
ドアが開くたび また振りむいて
未練のグラスが 指に重い
涙のむこうに 揺れている
夢をみつめて 生きてゆくのよ
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