女達のキィ・ワード

グラスを顔の高さに上げて
冗談めいた陽気な声で
“いいわ”と答えを返してきた
腕を伸して踊りの渦へ
リズムの波間 漂いながら
“そうね”と気分で囁いてた
そう そんな暮しの
そう そんな私が
会って間もない男の
一緒になろうの一言で
愛を踏んで 愛を踏んで
アー アー 転んだ

グラスをあける夜の早さを
追いかけようとする気も失くし
“いいわ”とついつい頷いてた
話しかけてる相手が消えて
影だけひとつ 揺れて見えても
“そうよ”と意味なくつぶやいてた
そう そんな夜ごとの
そう そんな私が
初めてでもないくせに
愛しているよの一言で
夢を踏んで 夢を踏んで
アー アー 転んだ

グラスについた口紅のあとを
そっとハンカチで拭き取りながら
“いいわ”とそれだけ答えてきた
バッグを胸にかかえ直して
止め金しまる音を聞いたら
“またね”と別れに微笑んでた
そう そんな女の
そう そんな私も
肌になじんだ男の
さよならしようの一言で
影を踏んで 影を踏んで
アー アー 転んだ
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