帰る故郷もない俺さ

あの娘(こ)と語った 大根畠
栗を拾った 峠の道よ
おさらばだ おさらばだ
基地になる村 ふるさと追われ
明日は何処(どこ)ゆく 渡り鳥。

段々畑も 一本橋も
捨てちゃならない 想い出ばかり
おさらばだ おさらばだ
泣けというのか 無情の風が
梢ならして 吹いてゆく。

おやじもおんばも あきらめたのか
黙りこくって 道具の始末
おさらばだ おさらばだ
せめて今夜は 鎮守の森で
二人月見て 明かそうか。
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