銀の記憶

真っ白な冬の曇り空 黙ってみつめてた
放課後の 淡く光る窓 ガラスごしに
その時ふいに 廊下を歩いてきた ひとつの影
それはまるで 少年の姿をした音楽のように

瞬間にわたしをとらえた あなたのまなざしが
永遠を 銀色の爪で 刻みつけた
あなただけが 見えない翼を背中に持ち
高く高く 灰色の人の群れをすり抜けて飛んだ

世界が遠のき 薄れて消えたそのあとに
あなただけがそこにいた 確かな記憶

真っ白な冬の曇り空 あなたはもういない
日暮れ前 降り出した雪に 凍えながら
こんなに広く淋しい宇宙の ふたつの船
離れて行く 時に隔てられ もう声も届かない
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