はじめて手にした 地下鉄(メトロ)の定期券(パス)は
大人の気分を あたえてくれた
ステキなひとねと 言われたわたし
混んでもないのに 席を立ったの
「メトロ」/JUJU×松尾潔×小林武史
はじめて<地下鉄(メトロ)の定期券(パス)>を手にした<わたし>は、新生活をスタートさせたばかりなのでしょう。何か特別なことが起こりそうな期待と不安に満ちている今。心は<大人の気分をあたえて>くれるメトロのパスでより高揚します。定期券内ならどこでも乗り降りできるパスが、まるで自分の世界を広めてくれる魔法のカードのよう。
ステキなひとね。そう言ってくれたのは、新生活で出逢ったひとなのか、地下鉄で隣り合った誰かなのか。もしかしたら初の“メトロのパス”にそう語りかけられたような気持ちになったのかもしれません。いずれにせよ、その言葉をきっかけに<わたし>は、いつもとは違うことをしようという冒険心が生まれ、はじめて<隣の駅>に降りるのです。
はじめて降りたわ 隣の駅で
こんなに近くに 知らない世界
ドキドキしながら 歩いた小径
黄昏降りたら 泣きたくなった
「メトロ」/JUJU×松尾潔×小林武史
すると<こんなに近くに 知らない世界>がありました。いつでも来ることはできたはずなのに、知ろうともしなかった街。そこでドキドキと<小径>を歩いたことには、主人公が“人生のわき道”を楽しもうとしている気持ちが表れているのではないでしょうか。さらに<黄昏降りたら 泣きたくなった>のは、青春の盛りを過ぎて大人になりかけている今が少し切なく、でも同時に、未知の希望も込み上げてくるからなのだと思います。
カンタンに変わってくひとが いちばん苦手なくせに
カンタンに変われないジブンが 誰よりいちばんキライ
……キライなんだけど
「メトロ」/JUJU×松尾潔×小林武史
続く歌詞にはこのような想いも綴られております。まず<カンタンに変わってくひと>は<苦手>だという<わたし>。それは新生活のなかで、痛感していることなのでしょう。あんなに仲がよかったのに、もう会わなくなってしまったひと。場所が変わったら、性格まで変わってしまったひと。周りに合わせて、カンタンに意見を変えられるひと…。
そういう人たちに対して<わたし>は、淋しさを抱いているように感じられます。ただし<キライ>ではくて<苦手>なんですよね。<苦手>という言葉にはどこか“自分はそうなれない”というニュアンスが含まれている気がしませんか? それゆえに<わたし>は一方で<カンタンに変われないジブン>のことを<キライ>と表現しているのです。
今まで隣の駅でさえ、降りたことがなかったほど“変わらない毎日”を淡々と生きてきたジブン。変わってゆく新生活にそうカンタンに馴染めないジブン。なかなか考え方や意見を曲げられないジブン。そんな不器用さが<キライ>だったのでしょう。だけど“メトロのパス”で<知らない世界>に降りてみたら、その<キライ>が少し変化した模様。
はじめて手にした 地下鉄(メトロ)の定期券(パス)は
大人の気分を あたえてくれた
ステキなひとねと 言われたわたし
どこまでだって 行ける気がした
どこまでだって 行ける気がする
「メトロ」/JUJU×松尾潔×小林武史
カンタンに変われない自分は、誰よりいちばんキライ。でも、キライな<わたし>のことを<ステキなひとね>と言ってもらえた。肯定してもらえた。だから今は<カンタンに変われないジブン>のこともちょっとだけ好きになれそうなのでしょう。また<地下鉄(メトロ)の定期券(パス)>があれば、ほんのちょっとの一歩で、こんなにも<知らない世界>を楽しめることも知りました。
こうして<わたし>は「たまには変わってみることも悪くないのかな…」と、思えたのではないでしょうか。そして<変わってく>ことと<変われない>こと、どちらの強さもわかったから<どこまでだって 行ける気がした どこまでだって 行ける気がする>という実感を持つことができたのではないでしょうか。つまり“メトロのパス”で行動範囲も心の在り方も広がったのです。
どこまでだって行けるようなパワーをくれる、JUJU×松尾潔×小林武史の新曲「メトロ」。地下鉄に乗りながら、知らない街を歩きながら、一人でじっくりと聴き浸ってみてください!あなたの人生がもっとステキなドキドキで溢れますように…!
◆紹介曲「メトロ」
作詞:松尾潔
作曲:小林武史
◆37th Single「メトロ」
2018年10月31日発売
初回生産限定盤 AICL-3587~3588 ¥2,000(tax in)
通常盤 AICL-3589 ¥1,280(tax in)
<収録曲>
1.メトロ
2.Remember (The Good Times)
3.かわいそうだよね -solo version-