幸せなんてこれっぽっちで構わないんです…。

「うそだ」 そんな夜もあったな
ひとりきりの道は
あなたが待つ道

やまないビート
重なるビート

「うそだ」 そんな夜もあったな
覚めた 魔法さえ忘れられない

それでも 歩こう
時は止まらない
ひとりきりの道は
あなたが待つ未来(みち)
「ETERNALBEAT」/ねごと

 4人組ガールズバンド“ねごと”が2月1日にニューアルバム『ETERNALBEAT』をリリースしました。今作の入口は、冒頭でご紹介した表題曲「ETERNALBEAT」です。<「うそだ」 そんな夜もあったな>…というフレーズで幕を開ける1曲目は、これからアルバムのなかで巻き起こってゆく様々な“過去の物語”たちを匂わせているかのようでもありますね…。さて、今日のうたコラムでは収録曲から、まさに今にも「うそだ」と泣き出してしまいそうな主人公を描いたような哀しく切ないラブソングをピックアップいたします。

予報外れの雨が降って
あなたの熱を冷ます
どこか遠くへ行きたいのに 今は
新しいシャツが濡れて重い

知らず知らず進んでゆくの
いつか終わってしまうことも
「シグナル」/ねごと

 この歌の<雨>とは実際の雨だけではなく、心の中に降り注ぐ雨のことも表しているのでしょう。天気は、自分の力ではどうにもならないもの。同じように、心の雨により<あなたの熱>が冷めてゆくことも、そうして恋の終焉へ<知らず知らず進んでゆく>ことも止めようがないのです。一方で、<どこか遠くへ行きたい>や<新しいシャツ>というフレーズからは、ヒロインの“一緒に変わりたい、ココから抜け出したい”という気持ちが伝わってきますが、変わりゆく彼を見ているうちにそうした思いも挫けそうになってしまっている様子…。

到底 意味のないこと
きっと知っているのに
どうして与えないまま
求め合うの

幸せなんてこれっぽっちで構わないんです
背伸びしたって今以上なんて望まないんです
「シグナル」/ねごと

 そして、歌が進むにつれ、おそらくこの二人は“危うい恋”の関係なのだろうということに気づきます。<到底 意味のないこと>、<与えないまま 求め合う>、<今以上なんて望まない>、さらに<誰にも明かさない>というフレーズも…。つまりいわゆる、周りから祝福されがたい恋、なのです。でも、それでも、<幸せなんてこれっぽっちで構わない>と続けてきた恋ですが、やはりそんな関係にはいつか終わりがやってきてしまうんです。「シグナル」は次のように幕を閉じてゆきます。

知らず知らずひとりきり

ぽつりぽつり降り出した
雨はあたりの声を消して
ゆらりゆらり傾いた
想いもそっと鎮めてしまう
続けてゆくことだけが
ひとつひとつ傷を増やすの
誰より知っていたって
シグナルは変わってゆく

ぽつりぽつり降り出した
雨は世界の音を消して
きらりきらり煌めいた
景色もそっと鎮めてしまう
いつのときも始まりは
青く青く青く美しい
どこへも行けなくなるの
シグナルが滲んでゆく
「シグナル」/ねごと

 好きなのに<続けてゆくことだけが ひとつひとつ傷を増やす>なんて、苦しいことです。ちなみに「シグナル」とは“合図”や“信号”のことですが、この歌で言えばそれは、彼からの“愛してる”というシグナルだったのでしょう。くっきり見えていた日もあるはずなのに、もう変わってゆくシグナル、滲んで見えなくなってゆくシグナル…。こうして今は、どこへも行けなくなってしまっている彼女ですが、いつかは「ETERNALBEAT」の歌詞のように、そんな時もあったなぁ…と過去を振り返り、新たな未来に進んでほしいですね…。
 
 尚、このアルバムの最後に収録されているのは「凛夜」という楽曲です。1曲目の「ETERNALBEAT」でも登場した<夜>というワードが、どのように繋がっているのか、どのように変化しているのか、そういったところに注目しながらも、こちらも歌詞を楽しんでみてください。

◆New Album『ETERNALBEAT』
2017年2月1日発売
初回生産限定盤 KSCL-2836〜2838 ¥3,700+税
通常盤 KSCL-2839 ¥2,870+税

<収録曲>
1 ETERNALBEAT
2 アシンメトリ
3 シグナル
4 mellow
5 君の夢
6 DESTINY
7 cross motion
8 holy night
9 Ribbon
10 PLANET
11 凛夜