『あぁ、つがいで行動する鳥だろ』
「どちらかが死ぬと、もう一方も死ぬそうです」
『変な鳥だな』
「どうして?素晴らしいじゃないですか。
愛に生き、愛に死ぬんですよ」
1998年のドラマ作品『世紀末の詩』でそんなセリフのやりとりがありました。実際に“ラブバード”というものは存在し、本当に仲むつまじく夫婦で行動するため、一方が死んでしまうと、寂しさのストレスで元気がなくなって死んでしまうというのはよくあることだそうなんです。さて、皆さんはこのお話、素晴らしいと思いますか?それともまた違う想いを抱きますか?それはもしかしたら“そのとき”の立場によって変わるのかもしれません…。
今日のうたコラムでは、そんなセリフにちなんだ内容の新着歌詞をご紹介いたします。“FLOWER FLOWER”が9月7日、約1年半ぶりにリリースしたニューシングル『宝物』です!彼らは、2012年をもってシンガーソングライターとしての活動を休止した"YUI”がyuiとして2013年に結成したバンド。表題曲は、バンドが現在の形になる以前から彼女が作っていた楽曲で、シークレットライブ等では演奏されていたそうですが、今回ファン待望の音源化が叶いました!
君が死ぬ時は僕の息も止めてよ
どうしてそれはだめよ 君は困った顔をした
愛情っていうのは形がないようだけど
本当は沢山のヒントを残してるよ
変わらない笑顔で暮らそう
くじけてもいいから笑おう
君がいない世界なんて
僕にとっては意味がない
だけど君はいつものように
優しく叱ってくれる
「宝物」/FLOWER FLOWER
まず、歌詞の前に曲を聴いて「あぁ、この歌声を待っていました…!」と心から思います。シンガーソングライターの“片平里菜”さんは自身のTwitterで「yuiさんおかえりなさい、、うれしい。日本に必要な歌声。」とツイートしておりましたが、まさにその言葉の通り。穏やかな楽曲ですが、サビの切実なメロディーラインといい歌声といい、唯一無二です。
「宝物」は、もともと、yuiにとっての恩人夫婦のエピソードを歌にしたものだそう。<君が死ぬ時は僕の息も止めてよ> <どうしてそれはだめよ>…この会話は冒頭でご紹介した“どちらかが死ぬと、もう一方も死ぬ”ことをどう感じるかということに繋がりますね。でも、正しいとか間違いの問題ではなく、もし自分が先に死んでしまうとしたら「あなたは長生きして」と願うでしょうし、その逆だとしたら「一緒に連れて行って」と思ってしまうのは仕方ないことなのではないでしょうか。
もし私がいなくなっても
ちゃんと生きてゆくのよ
「宝物」/FLOWER FLOWER
そして、ずっと“僕”の目線で歌われていた「宝物」は、ラストだけ“私”の言葉で幕を閉じるのです。<君は僕の宝物>であり、また<あなたは私の宝物>であるということが伝わってきますね。いなくなってしまったとき…そんな瞬間を考えたくもありませんが、やはり残された相手は“その先”を生きていかなければならないのでしょう。だからこそ、まだ大切な人が隣にいる今この瞬間がどれだけ尊いものか痛感します。改めてそんなことを気づかせてくれるFLOWER FLOWERの「宝物」、是非、聴いてみてください。
◆1stシングル「宝物」
2016年9月7日発売
初回生産限定盤 SRCL-9172〜73 ¥1,500+tax
通常盤 SRCL-9174 ¥1,000+tax