一歩踏み出した先には、想像してなかった未来が待っていた。

 2024年2月28日に“スピラ・スピカ”がミニアルバム『未知の設計図』をリリースしました。持ち前の太陽のような明るさで、聴くひとの心に寄り添い勇気づける楽曲や、その楽しさとハッピーが溢れるライブが話題となっているスマイルヒロイン・幹葉のピュアでポップでロックなソロプロジェクト“スピラ・スピカ”。今作は、日々頑張る多くのひとの背中を押す応援歌が詰まった、渾身の作品となっています。
 
 さて、今日のうたではそんな“スピラ・スピカ”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、収録曲「未知の設計図」にまつわるお話です。ラジオに高校生リスナーから届いた、一通のお悩みメールがきっかけで生まれたこの歌。自身の高校時代を振り返ってみると…。



「まわりの皆は将来の夢に向かって進み出しているけど、自分は何がしたいのか分からない」
 
高校生リスナーからラジオに届いた一通のお悩みメール。
「未知の設計図」はこのメールがきっかけでできました。
 
帰り道、電車の窓に映る自分の姿を見て、思わずふっと笑ってしまった。
大人になったら夢は見られないとずっと思い込んでいた私が、「いつかオーロラの下でライブをしたい!」って、恥ずかしげもなく言い出すようになるなんて。
 
だって高校生の頃、彼と全く同じ悩みを私も抱えていたから。
 
もっと小さい子供の頃、いくつも描いていた無邪気な夢は、中学高校と大人の階段をのぼっていくと同時に少しずつ薄れ、いつの間にか消えてしまった。
将来のことなんて特に考えず、毎日をただなんとなく、でもその瞬間瞬間を楽しく過ごしていた学生時代。
 
ずっとそれでよかったのに。そのままでいられたらよかったのに。
 
皆が進路を本格的に決め始めた高校三年生の夏。
つい昨日までくだらないことでケラケラ一緒に笑い合っていた友達が、急に大人に見える日がやってくる。
 
美容師になりたい子。歯科衛生士になりたい子。栄養士になりたい子。就職を決めた子。
たまたま、仲の良い友達は、卒業前にすでにやりたいことが決まっている子ばかりだった。
 
相変わらずやりたいことが見つからない、見つけようともしていなかった私には、皆がキラキラ眩しくて。すごくかっこよかった。羨ましかった。
 
比べる必要はないのに、つい他の人と自分を比べてしんどくなったりして。
それまでズル休みなんかしたことなかったけど、一度だけ、親に嘘をついて学校を休んでしまったことがある。
 
現実から目を背けてみても、時計の針は止まらない。私には何ができるんだろう。考えて考えて考えて、だけど自信のある答えは出せなかった。
 
「とりあえず」でもいいのかな
「なんとなく」好きだから
「とりあえず」やってみよう
「なんとなく」ワクワクするから
 
そんな「とりあえず」の軽い気持ちで、「なんとなく」のほんの少しの好奇心で、大学進学を決め、大好きな地元を離れた。
 
初めての一人暮らし、バイト、留学、始めたバンド活動、就活、就職…。
そこからやっと見つけた、歌を歌いたいという夢。
一歩踏み出した先には、想像してなかった未来が待っていた。
 
これまでの道のりを思い返すと、これって意味があったのかな? と思うものももちろんある。こんなのしんどいだけだって。
でもきっと、手探りで掴んだもの、自分で選んできたもの、どれか一つでも欠けていたら今の私はいないと思う。
 
夢ってきっと、見つけようと思っても無理に見つけられるものじゃないんだ。
 
だから、今すぐにやりたいことが見つからなくったって大丈夫。私もずっとそうだったから。
何気ない一日一日が、そこで感じたこと一つ一つが、いつか何かに繋がっていくはず。
 
子供も大人も関係ない。叶えたいと思ったそのとき、この曲があなたの背中を押してあげられますように。
 
ミチ はきっと輝くから!
 
<スピラ・スピカ>



◆紹介曲「未知の設計図
作詞:幹葉
作曲:重永亮介

◆ミニアルバム『未知の設計図』
2024年2月28日発売

<収録曲>
1.未知の設計図
2.FIRE SPIRIT
3.最響未来ファンファーレ
4.ぎゅっと ずっと
5.私の物語