私の想い

 2024年1月10日に“玉城千春”がDigital Single「あの人の声」をリリースしました。近年、県内の小中学校や児童養護施設をめぐり、唄を届けるなど沖縄の子どもたちのための活動を続けてきた玉城千春。同曲は、沖縄県内の児童養護施設『島添の丘』の壮行会で、子どもたちへのはなむけの唄として作られたことがきっかけとなって生まれました。
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“玉城千春”による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、新曲「あの人の声」にまつわるお話です。自身の想いがどのように動き始め、どんな軌跡をたどり、「あの人の声」にたどり着いたのか…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



2019年3月、マレーシアサバ州コタキナバルにある児童養護施設CFFを家族で訪問し、子どもたちと交流したことがきっかけに、私の心の中にしまっていたやりたかったことが動き始めました!
 
そこで出会った少年・チェルソン。彼と私は見えない扉の鍵を交換したかのように、その後お互いの新しい人生の扉を開いていくことになります。
 
その年12月、コタキナバルで行われたチャリティーコンサートで、チェルソンと一緒にKiroroの曲『生きてこそ』を日本語で歌いました。生れ育った環境に対して様々な葛藤があることでしょう。不安なことも沢山ある。でもこの場所で一生懸命に自分の花を咲かそうとしている。そんな彼らの幸せを願えば願うほど、私が生まれ育った沖縄の子どもたちのことも気になっていました。
 
沖縄の子どもたちのために歌を届けたい。想いを届けたい。心のアンテナを張り巡らしていた中、母校の読谷中学校の先生から、校庭に植えられている「命の樹」と呼んでいる桜の木をテーマに子どもたちと曲作りをしてもらえないかというお話をいただき、当時中学3年生の子どもたちと一緒に「命の樹」という曲を作りました。
 
また2020年6月、コロナ禍で課外授業もできない中、平和授業を進めながら歌を作ってほしいと沖縄アミークスインターナショナルの先生からご相談があり、当時中学3年生の子どもたちと「Hope Dream Future」という曲も生れました。
 
子どもたちのためにという自分自身の思いに気付かされて動き、出来上がったこの2曲は、玉城千春のソロとして2021年に配信しているのですが、その流れで制作を予定していた曲がもうひとつありました。それが新曲「あの人の声」です。
 
2021年3月、沖縄にある児童養護施設で働いていた友人からの声がけがあり、その年に卒園する高校3年生8人に、これまでの自分、これからの自分に向き合ってもらいながら正直な想いを書いてもらいました。

その彼らの想いを1番に、2番にはこれまで見守ってきた職員の子どもたちに対する想いを紡ぎ、8人を送りだす壮行会で一緒に歌いプレゼントしました。卒園してもひとりじゃないよ、見守ってるよ、とみんなで肩を組んで明るく歌えるように、BEGINの島袋優兄が素敵なアレンジに仕上げてくれました。コーラスはいま施設で生活している子どもたちと職員に参加してもらい、みんなの笑顔と声に感動しました。やっと仕上げることのできたこの曲が、未来へはばたく子どもたちのお守りになって欲しいです。
 
マレーシアで出会ったチェルソンは現在20歳。国立の音楽大学への進学が決まり、私は子どもたちと作った曲を発信する、というそれぞれの扉を開いています。
 
5年前、心の赴くままに体験し、感じて、そこから行動を起こし、自分を信じて進んできたチェルソンと私。そして、出会ってきた子どもたち。
 
私達は歩きだします!
 
たくさんの「あの人の声」を音に乗せて。

<玉城千春>



◆紹介曲
命の樹
作詞:玉城千春
作曲:玉城千春

Hope Dream Future
作詞:玉城千春・沖縄アミークスインターナショナル中学校 5期生
作曲:玉城千春

あの人の声
作詞:玉城千春
作曲:玉城千春