生き抜いたその先で 後編

 2023年12月13日に“プッシュプルポット”が3rd mini album『生き抜いたその先で』をリリースしました。今作には、バンドの新たな一面を感じさせる「不安定少年」と新曲6曲を含む、全7曲を収録。見る者の心を真正面から揺さぶる熱量溢れるライブパフォーマンスを武器に、金沢を拠点としながらも年間120本を超えるライブを行い、大型フェスにも出演を果たした、彼らの勢いを感じられる作品が完成!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“プッシュプルポット”の山口大貴による歌詞エッセイを2週連続でお届け! 第2弾は収録曲「不安定少年」、「緑色の自転車」、「少年少女」、「生きていけ」にまつわるお話を綴っていただきました。それぞれの歌詞に込めた想いをエッセイからも受け取ってください。
 


 
プッシュプルポットっぽく無い曲を作ってみたい。友達のバンドがダークめな曲をやっていて俺らにもできるんじゃないかなって好奇心でこの曲を書いてみた。
 
“思わせぶりな君の態度”
君が振り向いてくれないのは初めから分かってる。君が少し微笑むだけで、何度も会いに行ってしまう。
 
右手はずっと繋いだまま、また一枚一枚心が剥がれてく。僕達はいつまでもつまらない箱の中。
 
 
 
いつもの曲の書き方を変えて書いてみた
先にテーマを決めて書いてみた。
正直すんなり書けて曲作りが楽しかった。
 
テーマは自転車。
自転車と言っても、恋愛の曲、友達の曲、子供の頃の曲など沢山ある中、そこからピックアップして、年齢、景色をイメージして書いた。
 
小さな頃に乗っていた緑色の自転車。
 
あの頃の自転車が乗れなくなっても僕の背中を押してくれる。僕は気付けば大人になっていた。
 
 
 
“後悔しない道なんて決して無いと思う”
 
誰もが後悔しない方ばかり選びたがる。その決断のためにやりたい事が出来てないんじゃないかなって思ったりする。
 
僕は大学を留年までしてやめた。
世間体を気にすること。見えない将来ってやつに怯えること。いつだって周りの意見に流されて決断してきた。
そして「後悔しても自分で決めた道でしょ?」と言われてきた。
 
誰かに言われた道を進んだって、そいつは後悔もしてくれない。人生の成功者だって、今は幸せかもしれない。けれどハッピーエンドをまだ迎えちゃいない。
 
死んでしまう最後の最後に側に居てくれるのは自分自身だ。
 
自分が輝ける方、自分だけが知ってる感動。転んだってダサくたって、転がり続ければ、きっと前に進める。そこでしか見られない君だけの景色を見つければいい。
 
 
 
僕と君への歌。
 
僕の中で「13歳の夜」と言う曲を書いてから、僕にしか書けないことや、“命”について考えるようになった。
 
過去に、何度も何度も死にたい夜が訪れて、誰の迷惑にもならず楽に消えてしまいたい、そんな事を思ったりもした。
 
“音楽で人は救える”
とても綺麗事かも知れないけれど、僕自身が救われた。13歳の頃に起きた東日本大震災から救ってもらった。そして今音楽をやっている。
 
過去の自分へのメッセージ。
 
“泣いてる君を見つけた 死ぬまで死なないで”
 
“生きていてよかったって 
いつか僕も思えるだろうか
いつか君にも解る日が来るから”
 
生きていて良かったって、周り人達にいつも思わせてもらってる。あんな夜があったからこそ、僕は“生きてて良かった”そう思える。
そう思わせてもらってる。
“生き抜いたその先で”どうか君がそう思えますように
 
<プッシュプルポット・山口大貴>



◆紹介曲
不安定少年
作詞:山口大貴
作曲:山口大貴

緑色の自転車
作詞:山口大貴
作曲:山口大貴

少年少女
作詞:山口大貴
作曲:山口大貴

生きていけ
作詞:山口大貴
作曲:山口大貴

◆3rd mini album『生き抜いたその先で』
2023年12月13日発売
 
<収録曲>
1. バカやろう
2. 君が好き
3. Dear My Friend
4. 不安定少年
5. 緑色の自転車
6. 少年少女
7. 生きていけ