バンドを長く続けて来られた一つの原動力。

 2023年12月13日に“Plastic Tree”がニューシングル「ざわめき」をリリース! 今作は7月にリリースされた「痣花」から引き続き、A5サイズ・全60ページのフォトブックレット仕様の完全生産限定パッケージでのリリースとなります。カメラマンの中野敬久氏が撮り下ろした写真で構成された豪華仕様となっているので、ぜひチェックを!
 
 さて、今日のうたコラムではそんな“Plastic Tree”の長谷川正による歌詞エッセイをお届け! 綴っていただいたのは、歌詞先行公開もスタートした新曲「ざわめき」にまつわるお話です。作曲段階で形にしたイメージ、そして作詞段階で大切にした自分たちの感情は…。ぜひ歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。



自分の中で曲を作るパターンは二つあるのです。
「閃めきが浮かぶもの」と「徐々に構築してゆくもの」。
 
今回僕たちPlastic Treeが発表した新曲「ざわめき」は作曲段階では前者の要素が強かったのです。
ライブシーンも以前のような勢いを取り戻しつつある中、今のバンドが持つ雰囲気で、どのような曲をライブで演奏していたらカッコいいかな? というイメージを衝動的に形にした感じです。
 
対して、歌詞も含めた全体像に関しては後者の要素も色濃く出ています。
自分が作ったメロディやリズムに各メンバーのアイディアやセンスを落とし込んでいって楽曲を完成させる…こういった制作方法は繊細さや丁寧さを求められる一方、「バンドらしさを表現する」という自分たちの感情を最も端的に伝えられるように思うのです。
 
もう少し楽曲についてのディテールに触れると、音楽面では「ロックバンドとしての機能美が備わっている楽曲」という部分を求めました。そこに自分が思う普遍性を感じるメロディを乗せる…という、これまでにも取り組んできた最もベーシックな方法論ともいえます。
 
絵に例えるとデッサンまではある程度しっかりと仕上げますが、そこから先の色彩感や立体感などはメンバーとともに描いてゆく感じになります。
 
もしかしたら描き始めた段階で予想していたものとは異なる可能性もありますが、大抵の場合は自分では発想出来なかった良い方向に行くのです。
 
「ざわめき」もまたこのような過程を経て完成した楽曲ですが、自分も含めて作る側が楽しみながら形にする事が出来たのは嬉しく思います。
 
こういった喜びがPlasic Treeというバンドを長く続けて来られた一つの原動力となっているのを今回も実感出来た「ざわめき」は自分にとってもメンバーにとっても、大切な一曲になったのではないかと思います。
 
音楽的な部分においても、歌詞の一言一言においても、しっかりとPlastic Treeならではの世界観を持った一曲だと思いますので、どうか皆様にもお楽しみ頂けたらと願っております。
 
<Plastic Tree・長谷川正>



◆紹介曲「ざわめき
作詞:有村竜太朗
作曲:長谷川正

◆ニューシングル「ざわめき」
2023年12月13日発売