同じ言葉でも、人それぞれの捉え方がある。

 2022年5月1日に“成底ゆう子”が新曲「心の場所」をリリースしました。今作はオキコパンのイメージソング。沖縄の老舗食品メーカー『オキコ株式会社』が作るオキコパンブランドが、50年の節目を迎えるにあたり、イメージソングに成底ゆう子を抜擢。オキコと成底ゆう子との幸せな出逢いから生まれた、爽やかなパワー溢れるメッセージソング!健やかな生活、毎日を頑張る力と心の豊かさをお届けする1曲となっております。
 
 さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“成底ゆう子”による歌詞エッセイをお届け。綴っていただいたのは、自身にとっての“作詞”という作業についてのお話。音楽活動を続けていくなかでのとある気づき、そして変化とは…。ぜひ、新曲「心の場所」の歌詞と併せて、エッセイをお楽しみください。



私にとって歌詞を作ることというのは、いかに自分をさらけ出し、そして心の奥底にある声に向き合い、絞り出し、削って吐き出せるかという作業です。それは、時に痛みを伴うこともあります。
 
私は、主に家族や絆、ふるさとへの思いなどをテーマに楽曲を制作していて、つい言葉を綺麗にまとめてしまおうとするのですが、落とし込んでいく作業の途中、「何か違う」という違和感を歌詞に抱くことがあります。
 
まとめたい楽曲のイメージに、歌詞が反発しているように感じるのです。デビュー当時からメロディー先行で楽曲作りをしていたので、メロディーと歌詞がしっくりこないことに、思い悩んだ時期もありました。
 
そんなある日のこと、作詞しているそばから歌詞がメロディーを歌ってくれることがありました。
 
そうか、言葉にイントネーションや訛りがあるように、歌詞自体にもメロディーがあるんだと気づいてからは、1フレーズでも歌詞が歌わないところは、この歌詞には、違う言葉があるのかもしれない、と思いながら作詞をするようになりました。
 
また、歌詞は時を重ねるごとに変化して行きます。
 
デビューの頃は当時の心境から、ふるさとにいる家族の愛に支えてもらいながら、都会の真ん中でひとり頑張っていく、という歌詞が多かったのですが、時が流れ、自分の心の中に「家族に支えられる」から、「家族を支えなければ」という気持ちが芽生え、出てくる言葉(メロディー)にも自然と変化が出てきました。
 
ふるさとにいる家族はずっと変わらなくても、こんな風に自分の気持ちの変化で出てくる言葉が変わってきています。
 
今回「心の場所」という楽曲をリリースしました。
 
何気ない毎日、ふと感じる優しさに自然と広がる笑顔…そんな素敵な「心の場所」。そしてその「心の場所」にはその人しか感じられない「メロディー(言葉)」がある。
 
同じ言葉でも、人それぞれの捉え方があるから、喜んだり悲しんだり、時には涙したり、それぞれの感じ方で届くのです…
 
だからシンガーソングライターって…
奥深いし、面白いし、楽しい!

<成底ゆう子>



◆配信リンク:https://king-records.lnk.to/kokoronobasho