2021年12月1日に“ユアネス”が1st Full Album『6 case』(読み:シックスケース)をリリースしました。TVアニメ『イエスタデイをうたって』主題歌「籠の中に鳥」や坂本真綾への提供曲「躍動」のセルフカバーが収録。さらに、ユアネスの代表曲「Bathroom」と「凩」も新たにボーカルを再録し、6 case ver.として収録。全12曲からなる初のフルアルバムです。
さて、今日のうたコラムでは、そんな最新作を放った“ユアネス”の古閑 翔平(Gt.)による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、今作の収録曲「私の最後の日」のお話です。自身の母親が命の危機に瀕したことをきっかけに、「最後の日」という現実に向き合って生まれたこの曲。是非、歌詞と併せて、エッセイを受け取ってください。
初めまして、ユアネス
Gt,兼 Composer 古閑 翔平です。
この度 僕等ユアネスが
12月1日に1st full Album『6 case』を
Releaseさせていただきました。
タイトルの『6 case』は
これまで僕等がCDとしてリリースしてきた
作品の頭文字を合わせたものになっています。
思い返せばいつのまにか
6作品目になるんですね。はやいなぁ。
タイトル通り、今までのユアネスそして
これからのユアネスを沢山詰め込んだので
まだ聴いたことのないあなたも
いつも応援してくださっているあなたも
是非今作、手に取っていただければと思います。
今回はそんなフルアルバムの
収録楽曲の中から
「私の最後の日」という楽曲について
エッセイを描かせていただきましたので
お楽しみ頂ければと思います。
「私の最後の日」
自身が生まれ故郷を離れ、一人暮らしを始めて数年。姉から突然「母がくも膜下出血によって倒れた。」と連絡が入った。
あまりにも突然の連絡で、事態を飲み込めない自分。
「とりあえず急いで帰ってきて。」そう伝えられ、ふわふわとした感覚のまま、荷物をまとめ、バスに乗った。
幸い、家族の住む地元へは、高速バスを使えば2時間ほどで帰れる距離での生活だったため、すぐにここを発つことができた。
バスに揺られながらも、姉と連絡を取り合い、どういう状況なのか、どういった原因でおきた事なのか、意識はあるのか、命に別状は無いのか、聞ける限りの問いは投げかけた。
伝えられた内容によると、突然頭が痛いと悲鳴を上げ、倒れ、意識がなくなり、あまりの出来事に整理が追いつかず、救急車を呼び、病院に運び込んだ後に伝えられた症状が「くも膜下出血」との事。
どういった症状なのか。この時の自分は何も知らずにいたため、少しすれば良くなるだろうと何度も言い聞かせ、焦る気持ちを落ち着かせていた。
しかし、内容を調べていくにつれ、状況は想像していたものとは違い、まさに命の危機に瀕している状態だと言うことがわかっていった。
いつもは意識しないこの時間の流れも、この時だけは止まっているかのようだった。
そこから病院につくまでの記憶は正直無く、到着してから、母の意識が戻って言われた
「心配をかけてごめんね」この言葉だけが強く残っている。
この時 何故か自分は少しだけ怒ってしまった。何を謝っているのだと。少ない生存率の中、あんたは自分達のために帰ってきてくれたのだから、もっと喜べ、もっと笑ってくれと心底思ったから。
違う感情を出さないと、涙が隠しきれなかったから。
私はその時に改めて「母は強し」という言葉の意味が少しだけわかった気がした。
自身の最後の日が来るとして、その時に自分はどのような感情を一体、誰に与えているのだろう。いつも隣り合わせに座っている「最後の日」という現実に少しだけ向き合って、この曲は生まれた。
いつか訪れる「最後の日」
笑顔も泣き顔も共に溢れていれば
◆1st Full Album『6 case』
2021年12月1日発売
<収録曲>
1.籠の中に鳥
2.アミュレット
3.色の見えない少女
4.日照雨
5.ヘリオトロープ
6.Alles Liebe
7.49/51 (feat.nemoi)
8.凩 (6 case ver.)
9.躍動
10.Layer
11.Bathroom (6 case ver.)
12.「私の最後の日」