2021年1月27日に“城南海”がニューアルバム『Reflections』をリリースしました。今作には、ディズニー実写映画『ムーラン』日本版主題歌「リフレクション」を収録。根強い人気を誇るカバー曲歌唱も、今回は映画音楽を中心に選曲。さらにはオリジナル楽曲も収録されております。出身地・鹿児島県奄美大島の歌唱法“グイン”をふんだんに使用し、城南海らしさも全開に、洋楽と奄美大島の三味線も融合させるなど、新境地にも挑んだ記念すべき10枚目のアルバムです。
さて、今日のうたコラムではそんな最新作を放った“城南海”による歌詞エッセイをお届け!綴っていただいたのは、ディズニー実写映画『ムーラン』日本版主題歌「リフレクション」のお話です。城南海本人が訳詞を手掛けたこの歌。ムーランを表現するため、そして、みんなに愛されるディズニーソングを歌うため、大切にしたこととは。是非、エッセイを読んでから改めて楽曲を楽しんでみてください…!
~歌詞エッセイ:「Reflection」~
2020年、ディズニー実写映画『ムーラン』の日本版主題歌「リフレクション」の歌唱、そして訳詞をさせていただきました。
私がこれまでに詞を書いた曲はあまり多くありません。なのでディズニーさんから訳詞のご依頼をいただいた時は「私でいいんですか?」と、大変驚きました。しかもその曲は1998年に発表されたアニメーション『ムーラン』の主題歌でChristina Aguileraが歌い、日本はもちろん世界中で長年愛されている楽曲「Reflection」。日本語では劇中のワンシーンで歌われる歌詞が存在していましたが、今回は作品全体を通しての訳詞(直訳ではなく意訳)で書いてほしいとのことでした。
私がまず意識したのは、当たり前のことですが“原曲の良さを無くさない”こと。その上で、実写版だからこその“新しい「Reflection」”を表現すること。
『ムーラン』は、自分の愛する家族を守るため、男性と偽り戦いに出て行く少女の物語。
制作段階ではまだ実写の映像が観られなかったので、まずはアニメーションの方を繰り返し観ながら、私が作品から感じた大事なキーワードだと思う言葉を、下記のように箇条書きにしていきました。
・運命
・素顔
・自分らしく生きたい …など
そして既存の「Reflection」の歌詞を直訳し、そのメッセージを解読していきました。
・何故本当の自分を隠さなければならないの?
・いつになれば自分らしさを開放して生きられるの?
そんな問いが続く中で沸々と湧き上がる信念を感じ、私の中に1つのテーマが浮かびました。
<私を生きる いつの日か>
それはムーランの悩みであるとともに願いでもある。どんな時代でも共感していただけるテーマなのではないかと思い、この言葉から歌詞を紡いでいきました。
ムーランはディズニー史上最強のヒロイン。実写版ではアニメーションよりもアクションにフューチャーし、美しく勇敢に戦うムーランの姿が描かれています。
「忠義・勇気・真実」
家に代々伝わるこの3つの美徳を胸に刻み、本当の自分を信じ、開放して強くなっていくムーランの姿を歌詞にも映しました。
また冒頭には私自身の自分らしさも取り入れたいと思い、私の歌手活動のテーマでもある“月”の情景から世界を広げていきました。月には光と影があり、その二面性がムーランの心情に重なりますし、淡い光や満ち欠け、雲に隠れてしまったりするその変化がムーランの揺れ動く葛藤や願いを表すと感じたからです。
そして最後にもう一つ大切なポイント。それは、皆さんに分かりやすく、皆さんが歌いやすい言葉にするということ。ディズニーソングは老若男女に愛され、みんなの夢や希望を乗せて受け継がれていく曲。なので基本的にシンプルな言葉で、尚且つ原曲の英語詞と同じ母音の言葉で組み立てていきました。難しい作業でしたが、これに拘ったことで“ディズニーソング”として完成したのではないかと思います。
私のような作詞経験に乏しい歌手に訳詞を依頼するのはリスクもあったと思います。でも、歌う本人が持つ言葉のパワーというものを信じ、挑戦をさせてくださったディズニーさんには心から感謝しています。ムーランから学んだ「私を生きる」ことを胸に、これからも自分を信じ自分らしく歌い続けていきたいです。
そしてこの新たな「リフレクション」を、皆さんに受け取っていただけたら幸いです。
<城南海>
◆紹介曲「Reflection」
作詞:David Zippel・Matthew Wilder・訳詞:Minami Kizuki
作曲:David Zippel・Matthew Wilder
◆ALBUM『Reflections』
2021年1月27日発売
初回限定盤 PCCA.04994 ¥5,800(税別)
通常盤 PCCA 04995 ¥2,800(税別)
<収録曲>
1.リフレクション
2.Change the World (カバー)
3.カントリー・ロード(カバー)
4.Good-bye days(カバー)
5.Never Enough(カバー)
6.蘇州夜曲(カバー)
7.Over the Rainbow(カバー)
8.君だけのメロディー
9.Encounter in Space “THE EARTH”
10.産声